『映画を早送りで見る人たち』を読んだ

www.amazon.co.jp

筆者は一貫して、映画を早送りで見る人たちへの嫌悪感を示しつつも、きちんと若者に向き合い本質を探り、時代変化が背景であると主張している。少し先の未来では真に当たり前になっているとも。

筆者の主張はほとんど納得できるもので、アニメやYouTubeの倍速視聴や話数飛ばしはあり得る、というのが自分の立場。各種プラットフォームで倍速視聴が実装された頃は、倍速視聴は主に声優の演技への冒涜であると硬派な立場を取っていたが、今ではdアニメストアで1.25~1.5倍で視聴するのが普通になった。理由は本で述べられている通りで、コンテンツ過多と可処分時間の奪い合いの結果。ただ筆者と同じで、映画を倍速で見ようと思ったことは一回もなかった。しかし家で視聴すると集中力が持たないので、ながら視聴や一時停止して翌日続きを見ることはやっている。映画が2時間であり続けているのは実は時代錯誤かもしれない、はそうかもと思いつつ僕の一番好きなインターステラーは2時間49分の大作で、毎回見入るので長いとは感じない。面白い映画は3時間でも良い。

最近気をつけていることとして、「リアタイ」がある。近年、コロナ禍が後押しとなり声優ライブやイベントは同時配信とアーカイブ配信が当たり前になった。イベ被りや物理的に無理な場合に、配信を見ることができるのは非常に助かる。しかし気づいたのは、アーカイブは結局見ないか飛ばし飛ばし見て終わる頻度が高いことだ。アーカイブになった瞬間に、可処分時間の奪い合いに参戦することになり、後で見よう→結局見ないが多すぎる。なので真剣なコンテンツはリアタイしたほうが良い。そのほうがエンタメ密度が高い。なお現地参戦信者としては同時配信より現地のほうがいい、チケットがあれば。映画も同じで、放映中の作品は映画館で鑑賞したほうが感動の密度が高くなる。こう書いてみるとやはりアマチュアの映像音楽鑑賞環境とプロの映像音楽鑑賞環境では埋められない溝がまだまだある。ライブに関しては周囲の客とのグルーブや一体感も。メタバースといえど現地体験に追いつくにはまだまだ技術の発展が必要だと思う。